花嫁衣裳の柄、物語文には物語が柄として描かれています。

古典文学を楽しむことができるこの柄は江戸時代に人気のあった柄です。

また知性的な女性の雰囲気を出せることのできる柄でとても素敵です。

平安時代、日本最古の長編小説「原氏物語」を手がけたのが紫式部と言われています。

その作品に影響を残した作品がもう一つの柄「伊勢物語」です。

紫式部が手がけた作品である「原氏物語」と後世に影響を残した作者不明の「伊勢物語」が今回のお話になります。

 

 原氏物語 

第一部:光源氏が数多の恋愛遍歴を繰り広げつつ、王朝人として最高の栄誉を極める前半生の話

第二部:愛情生活の破綻による無常を覚り、やがて出家を志すその後半生と、源氏をとりまく子女の恋愛模様の話

第三部:源氏没後の子孫たちの恋と人生の話

の流れの話で構成されている恋愛小説になります。

簡単に説明すれば、天皇の親王として出生し、恵まれた容姿と才能でモテモテだった光原氏を中心とした子女と光原氏の子孫たちの恋愛模様と苦悩を描いた作品です。

 

 

 

 

 

                                       その後有名になったこの作品は意匠の、調度品として使われるようになり、それが伝統的な花嫁衣裳の柄にもなったという日本の文化に大きな影響を与えた偉大な作品です。

かの有名な与謝野晶子にも大きな影響を与えており、それは彼女の作風にも出ています。

他の有名著者たちも現代訳に挑戦している世界的に有名な作品です。

近年では、それを漫画にしたものが数多く出ており現代らしい楽しみ方で作品を読むことができます。

小学生の頃学校の図書室で見つけた漫画文庫「あさきゆめみし」。

小学生が見るには少し内容が大人でしたが、やはりストーリー構成がとても面白くて気づいたら全巻読んでいました。

あさきゆめみしは「原氏物語」を漫画にしたものです。

伝統的なものから現代のカルチャーにまで幅広くその作品を濃く残しているこの作品はとても素晴らしいものです。

小説とは違う方向から作品を残していくことはとても良いことで、こうして花嫁の衣裳柄にまで展開されているのですから、人々の心に多く影響を及ぼしたに違いありません。

 

 

 伊勢物語 

こちらは作者不明の作品で、ある男の元服(※元服とは男子が成人する通過儀礼のことです。今でいう成人式と同じだが、当時は数え歳で12歳から18歳の間に行われるものでした。ちなみに女性は、結婚と同時に18歳から20歳までに行います。)から死ぬまでの、まとめるとその男の生涯の話です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらも同じく原氏物語と一緒でかなり古い作品とされており、特徴として「昔、男・・」と始まることが多いです。

そのことから主人公の男は「昔男」と昔から呼ばれていました。

多分学生のうちで一回は聞くであろう作品なのでどこかで聞いたことあるかもって思ってる方もいると思います。

こちらも原氏物語と同じように、伝統的なものへと作品を残しています。

この作品は男女の恋愛を中心の物語で親子愛・友情・主従愛・社交性など色々なテーマで書かれている作品で、

登場人物も多く主人公の男だけの物語ではありません。

そこには普遍的な人間関係が物語とされているようです。

また、この作品は歌人在原業平の和歌を多く採録していて、主人公の男は「業平」の面影が強く出ています。

後世にも大きな影響を与え、さまざまなパロディーを生み出し、

「仁勢物語」現代では「江勢物語」などが生まれました。

この作品は、原氏物語にも影響を与えた歴史ある作品です。

この影響が、他の作品の歴史に繋がっているのだと思うと奥が深いですね。

 

 まとめ 

 

物語は不思議なことに影響力が強く、今までやろうとしなかったことにもチャレンジしてみたりと人のやる気に火をつけることができます。

私も影響を受けた一人です。

その物語から歴史を感じることができたり、物語から色々な豆知識を得ることができます。

着物の柄から、物語に興味をもち古典に目覚めたりする可能性はあります。

興味をもってその作品から分岐して様々な文化へと展開していく・・・。

この二つもそうして人の手によって作られ、展開していき歴史を紡いできたのです。

時代の流れと共に歴史は生きていますので、

人々が紡いできた、大切な伝統を守っていきたいと強く思います。

着物の柄には意味があります。それが伝承であったり、物語であったり様々な意味が込められてきました。

結婚をするにあたり二人が末長く幸せになるよう意味のあるものを柄に選んでいます。

またはその人が素敵な女性になるように教養の意味も込められています。

どちらかというと物語文は知性だったり教養の意味の方向から長く愛されてきた柄です。

愛されてきたということは人々から親しみを持たれ興味を与えていたのだとそう感じました。

この伝統ある柄には一つ一つ大事なことが込められていることがわかります。

今回は柄からの歴史やその意味をお話しさせていただきました。

伝統や歴史に興味のない方も、和装を選んだ際はぜひ柄に注目してみてください。